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2024年度 理事長所信


一般社団法人横手青年会議所

理事長 細川 拓也





【はじめに】
進取果敢に生きる者は
新しい道を切り開く 困難にひるまず挑む者は 自分の夢を実現する
進取果敢に生きる者は
周りの人を引きつける 協力と信頼を築く者は チームの成功を導く
進取果敢に生きる者は
常に学び続ける 知識と経験を深める者は 自分の成⾧を促す
進取果敢に生きる者は
自分の価値観を持つ 他人の意見に流されず 自分らしく生きる
進取果敢に生きる者は
豊かな人生を送る 自分の選択に後悔せず 自分の人生に誇りを持つ


 思い返せば、私は横手青年会議所の門戸を叩いてから、様々な挑戦を繰り返してきました。
それは、正直なところを言えば自ら求め能動的に行動していたものばかりであったのかと言え
ばそうではなく、挑戦する機会を受動的に享受することも多かったと感じています。それまで
私という人間は何か新しいことに挑戦するにしても、失敗を恐れ、後ろ向きの感情が先行し、
挑戦を諦め、自身が置かれている状況に満足はせずとも何かしらの言い訳を用意し、それまで
過ごした日々が侵されることのないよう平坦な道を歩んでいました。
 それでも、青年会議所に入会してからは組織の中で与えていただいた役割やタスクに対して、
期待に応えることができるのかどうか不安に思いながらも、悩み、苦しみつつ、様々なご助力
をいただきながら取り組み、自分なりに全うできるよう進んできました。
 すると、不思議なことに、それまでは仕事や家庭など、自身の身の回りのことをこなすこと
で精一杯だったはずの「以前の自分」から、仕事や家庭にも真摯に取り組みながらも「プラス
αのタスク」も同時にこなすことができる「新たな自分」へ少しアップデートされていること
に気づきました。小さな出来事でも、その喜びは自身の中でとても大きな体験となり、それ以
来、私は新たな挑戦の機会を自ら進んで享受することを選択してきました。
 今なら断言できます。果敢な挑戦はその人の成⾧を促し、他を巻き込み、人生を豊かにする
ことができます。仮に何かしらの挑戦がうまくいかなくとも、それは次の成功のための大きな
布石であり、断じて失敗ではありません。少なくとも青年会議所は、果敢な挑戦に対し大きな
寛容性を持っています。結果はもちろん重要ですが、困難な道に敢えて進んだその勇気と向上
心を我々は必ず見ています。失敗は誰でも怖いものですし、避けて通りたい道ではありますが、
避け続けた先に道は続いていません。困難でも進むべき道に対し、勇気を持って進んでいくこ
とが今、我々青年に求められていることなのではないでしょうか。


 1981年、横手青年会議所の歴史が幕を開け、43年間の歩みの中で実に多くの事業を展開し、
まちの未来のため、子どもたちの未来のために運動を続けてまいりました。これも偏に先輩諸
賢の皆様があくなき挑戦をし続けてきた賜物であり、心からの感謝と敬意を表する一方で、現
在までの横手市の状況に目を向けると、平成の始まり頃は10万人を超えていた人口が、2024
年現在8万人強まで減少を続け、今後もその流れは残念ながら進んでいくとみられています。
自然減と社会減がそれぞれ問題となっており、それは先行きの見えづらい地域経済の衰退にさ
らに拍車をかけていくことにつながり、まちの未来に希望を抱いている人たちが少なくなって
いることは否めません。しかし、そんな時こそ我々青年が奮い立ち、疲弊した地域の先頭に立
ち挑戦をしていき、能動的な市民や若者を生み出す運動を実践していくことが必要なのではな
いでしょうか。我々は、地域に住まう青年経済人として、責任世代として、発展と成⾧の機会
を自ら進んで享受し、それぞれのコミュニティにおけるリーダーとして、他者に姿勢と考えを
示し共感させることで地域を明るく照らし、これから将来に渡り横手に住み続けていきたいと
思う若者や子どもたちを一人でも多く生み出すための運動をしていかなければなりません。横
手青年会議所創立時から現在まで脈々と受け継がれている先人たちの気概を糧とし、私たちは
一丸となり進んでまいります。


【未来をつくる人材開発と育成】
 我々横手青年会議所は、2024年度を25名の会員数でスタートしてまいります。10年前に
は50名を超えていた会員数は減少を続けており、このままでは組織の存続が危ぶまれること
となります。もしそうなれば地域を引っ張っていく我々青年の運動は絶えることを意味し、ま
すます地域の活力が無くなることに繋がっていきます。そのような状況を改善するため、これ
まで当会は新規会員の獲得へ向け、自分たちなりに全力で活動を行ってまいりました。しかし、
ここ数年は目標値の未達成という現状が続いており、本活動に対し抜本的な改革が求められて
いると感じております。
 今年度は、人材開発育成委員会という新たな委員会を設け、今までのスタイルを踏襲するだ
けではなく、危機感に共感し、会員全員が主体性を持って参画できるしくみを作ります。
 地域の大いなる力の源である青年の力の参画を促す人材の発掘と、会員相互の成⾧と発展の
場を提供していき魅力あふれる組織づくりを進めることで価値の向上へつなげ、地域にとって
今以上になくてはならない組織へと変革していく歩みを進めてまいります。


【パートナーシップ構築による事業の持続可能性を担保したまちづくり】
 依然として山積された地域課題は多種多様の背景から複合的に絡み合っており、その解決に
向けて当会は全力で解決のための運動に取り組んでいるものの、単年度制を用いているJCの
性質として1年で成果を出すことは簡単なことではありません。また、横手青年会議所単体の
組織だけでは魅力的な事業を行っても、その後に渡り属人的に事業を継続していくことは容易
ではなく、次の世代、また次の世代へとバトンが渡され続ける組織の特徴から、その若き力と
行動力で新たなイノベーションを生み出すことに我々は注力していくべきであると考えます。
 その中で、事業効果を高め地域へ最大限にインパクトを残す最適な方法のひとつと考えてい
ることがあります。それは、パートナーシップの構築です。事業に相乗効果を及ぼすパートナ
ーの連鎖を拡充させることで、自然とその事業の魅力は高まり、地域に大きなインパクトを与
えることができますし、事業の持続可能性が高まることも期待できます。
 また、事業の必要性を推し測る意味でも、事業構築段階でどれだけ人を巻き込めるかはひと
つの指標になります。それだけに、確かなエビデンスから適切な背景を見出し、その課題解決
を目指す階段を上がるための目的設定を行うことは賛同者を集める最大のキーポイントとな
ります。
 地域が疲弊している今だからこそ、パートナーと共に課題への危機感を共有し共に手を取り
合いひとつの事業に向き合うまちづくり事業を展開してまいります。


【許容の心と支援で挑戦を促すひとづくり】
 現代社会は様々なイノベーションにより新しい時代へ突入しています。例えば米オープン
AI が提供する ChatGPT を始めとした高度な能力を備えた人工知能の進歩は、それまでの弱
点だった対話型の能力を新たに備え、私たちの想像を遥かに超えた世界を見せ始めています。
技術の発達により、それまでの仕事の価値観、考え方が大きく変化し、その中で我々人間には、
技術の発達に合わせ共存していく適応能力が改めて求められていると感じています。
 時代が進歩していくということは、その環境変化に適応する新たなチャレンジを生み出す土
壌が生まれていることにつながり、実際に日本においての2023年のスタートアップ数は過去
最大の伸びを見せ、その背景には大学発ベンチャーの急激な増加が大きく作用しており、若き
力が躍動するうねりのようなものが確かに始まっています。
 しかし、地方ではそれまでにあった慣習などにより新しいモノやコトを受け入れない考え方
が若い世代へ閉塞感となって伝わり、新たなチャレンジがしづらい環境になっていることが未
だ現状です。果たして、次代を担う若者が、自身の住まう地域に期待を持てず、自分のやりた
いことのチャレンジができない土壌に何か希望を見出すことができるのでしょうか。
 私はこのふるさとである横手において、新たな挑戦をする若者たちの最大の支援者が横手青
年会議所になるべきだと考えています。子どもたちの存在は未来へ向けた大きな宝であり、明
るく希望に満ち溢れている世界を示さなくてはなりません。我々が地域の未来を創る若者たち
を後押ししていく代表者となり、ひとづくり事業を推進してまいります。


【組織ブランディングについて】
近年、当会は広報に力を入れ始め、SNSを活用し、我々の運動や活動、それに係るメンバー
の魅力を発信しようと試みています。データを見てみると少しずつではありますが、確かに数
字の上で結果は着実に実を結び始めており、この動きを止める理由はありません。しかし、効
果的なブランディングができているのかは常に検証を行い、より良い方向へ改善を図り続けな
ければなりません。組織や事業を知ってもらう取り組みは広報にあたりますが、私の中でのブ
ランディングの定義とは組織や事業の「魅力」を知ってもらうことと、それにより組織や事業
の「価値」を高めることにあたります。
 その中で私が考える効果的なブランディングのポイントは2点です。それは、事業の質を上
げること、そして100%相手の目線に立った広報(PR)を行うことです。どちらも当たり前の
ことに聞こえますが、実は本当にこの 2 点を徹底したブランディングができているのかとい
うと、そうとは限りません。それは、どちらのポイントも自分本位でなく、相手の目線に立ち
想像力を働かせることが必須だからです。自分とは違う価値観を持っている対象に魅力が「伝
わる」ということの難易度は想像をはるかに超えて高いものです。よって、対象となる人たち
がどんなことを求めているのか、自身のイマジネーションを働かせ、想像に想像を重ね、さら
にそこへ集計データという確実性を乗せたうえで構築していくことで、初めて検証に値するブ
ランディングができているかどうか考えることができるのです。
 我々は組織ブランディングの向上へ向け、より質的な価値を追い求める事業構築と発信を行
い、地域に必要とされる組織として進化を続けてまいります。


【絶えず続ける果敢な挑戦】
「青年会議所は不連続の連続である」という言葉があります。青年会議所という組織におい
て会員は40歳を迎えると卒業していきます。そして、1年ごとにそれぞれが担う役職、役割
が変わります。その2点の事柄による最大の利益は何か、それは組織循環により常に挑戦する
土壌が連鎖的に享受できる点だと考えます。
 1 年で方針や運動が変化していく当会は、年度ごとにリーダーが示す新しい挑戦があります。
この「新しい挑戦」がいわゆる「不連続」の部分です。青年会議所においてはこの「不連続」
が必ず発生し、その新たな挑戦に向かう崇高な志は、青年会議所が生まれてからたくさんの先
輩諸賢の皆様から現在に至るまで脈々と受け継がれ、今後も組織がある限り続いていきます。
この「脈々と受け継がれる」部分が「連続」という考え方にあたり、この「不連続の連続」と
いう一見相まみえることのない言葉は、まさに青年会議所という存在意義の根幹です。


 先人たちの志を引き継ぎ、どんな困難が待ち受けていようとも、我々は絶えず果敢な挑戦を
続けていくことをここに誓います。それが、地域を、人を、より良い方向へ導き、明るい豊か
な社会を創り出す最善の道を歩むと私は強く信じています。





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